緊張と集中力の関係

ストレスで頭をおさえる男性

うちの営業所の所長は怖く、彼がこの支所に来る日とそうでない日は所内の緊張感が違う。いつもは誰よりも遅く出社し、時には遅刻だってしてしまう男性社員も、所長が来る日は他の人と同じくらいの常識的な時間帯に出社する。

外部から電話がかかってきたときのコール音も、普段なら出る役割を押し付け合い、たいてい4コール目くらいで下っ端の人間が出ることになるのだが、所長がいるときは1コール目がなり終わるか否かのタイミングで、3人くらいが一斉に受話器を取る。いつもは押し付けあう電話応対の役割を、誰よりも早く引き受けたということで、繋がった人がかすかなドヤ顔を見せる。しかし静まり返った所内だから、電話応対のまずさも露呈しやすく、要件内容により、これはある意味、賭けのようなものだ。

所長は毎日は出社しないので、たまの出社時に一気に仕事を片付ける。その勢いには傍から見ても、ものすごい気迫や集中力を感じ、所長の目がなくたって、自然と所内の集中力も高まる。所長のいる緊張感が、集中力を後押ししてくれるのだ。

たまの出社時を狙って、所長に確認を取らなくてはいけない案件などがあると、その質問すら、事前に準備をして、所長の手間をかけさせないようにすることも暗黙の了解で決まっている。誰かの質問事項で手間取っては、その後に続く他の社員にも迷惑がかかる。所長への確認作業、それぞれのルーティーンワーク、その日生じた新たな課題や問題などを進め、所長が退所してやっと、その日一日の業務が終わる。緊張感が張り詰め1日集中力を総動員して取り組んだ仕事を片付け、ほっとした後は所員の多くが参加しての打ち上げ飲み会となる。

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